とは言え折角買ったのですから使ってみることにしてみましょう。

　さて、このDT-SP21。製品としてはポータブル・スピーカーとなっていますが、正直外部スピーカーとして利用する気はおきません。
　なにしろこいつを外部スピーカーとして使うには、同梱されている専用ケーブルが必須という不便さ。
　しかもこの専用ケーブル。片方は通常のラインケーブル形状ですが、反対側はミニUSB。簡単に代用が効くものではありません。

　まぁ、そんなことはどーでも良いんです。些細なことです。ぶっちゃけた話こいつスピーカーとしての性能は値段なりに過ぎず、お世辞にも良い音とは言えません。
　単純にスピーカーとして考えれば同じ値段で他にマシな物もあるでしょう。

　こいつの本領はポータブル・スピーカとは別にあります。
　実はこれ。単体で音楽再生及びラジオ受信ができるというスグレ物なのです。
　ラジオについては試したことないのでよくわかりませんが、音楽再生については意外と便利だったりします。
　この機械は本体にメモリはありませんが、外部メモリとしてマイクロSDカード及びUSBメモリが使用可能です。外部メモリに入っているMP3あるいはWMAデーターを再生することができるわけです。
　なおどちらが優先されるという規則はなく、『後から挿入されたメディアに入っているデーターが再生される』という仕様になっています。
（ちなみに他のデーター再生中でも、別メディアが差し込まれた瞬間にそっちに切り替わるというなかなか剛気な仕様となっております）
　ディスプレイに相当するものは7セグメントしかありませんので、もちろん曲名なんぞ表示されません。何曲目を再生中であるかしかわからない仕様となっております。
　とはいえ、通常再生、シャッフル再生、全曲リピート、1曲リピートと必要最低限の機能は揃っていますし、気休め程度とはいえプリセットのイコライザが4種類あります。
　また用意する音楽データーのファイル名は日本語でも構わない仕様となっており、この手の製品にありがちなファイル名変更などの煩わしさはありません。

　我が家ではこいつを炊事場のデーブルに置いており、家事中のBGM再生機として利用しています。
　この使い方なら曲名表示なんて気になりませんし、雑音が多い中での再生ですからスピーカー品質もそれほど気になりません。むしろ安物のわりには音量は大きめなのでもってこいでしょう。
　特に電源を入れたら何の操作も必要なく前回の続きから再生が始まるところなんてBGM再生機としては最高でしょう。

　あ、あとこの製品。ポータブルと名乗るだけあって一応バッテリーを内蔵（着脱式）しています。ですので電源が無い場所でも使用は可能です。
　ただし、音楽再生だけで2時間しか持たないというのはいかにも非力すぎる気はしますが……。
　またこれは個体差かもしれませんが、USB端子の差し込みも緩くちょっとした力でケーブルが抜けてしまうのもマイナス点。

　結論から言えばこれは「目的さえ合えば値段次第でお買い得」な製品であると言えます。
　1500円程度で購入したのであれば充分に割に合う買い物ですが、2000円以上となると微妙です。またその大きさ上大口径スピーカーは搭載していませんし、その品質も決して高くはありません。
　間違えても音楽に一家言ある人が買って良い製品ではありません。
　ですが、その辺を理解した上でそれこそ“ながら聞き”専用にするならば場所も取りませんし、電源もミニUSBから取れる小回りの効く製品です。
　万人に勧められる物ではありませんが、一つぐらいこんな製品を持っていても悪くはないと思いますよ。